松本 隆 作詞活動55周年記念 オフィシャル・プロジェクト
風街ぽえてぃっく2025
「風街ぽえてぃっく2025」第一夜:風編 ライブレポート
テキスト:馬飼野元宏/PHOTO:CYANDO

松本隆の作詞活動55周年を記念するイベント『風街ぽえてぃっく』が、9月19日(金)、20日(土)の2日間にわたって、東京国際フォーラムホールAで開催された。
日本の音楽シーンに巨大な足跡を残し、今も現役で活動する作詞家・松本隆の創作の歩みを歌い綴る、松本作品の重要なキーワード "風街 "を冠したこのイベントは、1999年に30周年記念として渋谷ON AIR EASTで開催された『風待ミーティング』以来、ほぼ5年おきに開催されており、4年前の2021年、50周年記念として日本武道館で開催された『風街オデッセイ』が、その集大成的なコンサートとなった。
日本の音楽シーンに巨大な足跡を残し、今も現役で活動する作詞家・松本隆の創作の歩みを歌い綴る、松本作品の重要なキーワード "風街 "を冠したこのイベントは、1999年に30周年記念として渋谷ON AIR EASTで開催された『風待ミーティング』以来、ほぼ5年おきに開催されており、4年前の2021年、50周年記念として日本武道館で開催された『風街オデッセイ』が、その集大成的なコンサートとなった。


今年新たに行われることになった『風街ぽえてぃっく』は、最後の風街イベントになるというアナウンスだった。
実際、この4年の間に、風街ワールドの重要な住人であるアーティストたちが鬼籍に入った。松本と細野晴臣が在籍したエイプリル・フールのヴォーカリストだった小坂忠、70年代半ばから随所で松本作品を歌ってきた大橋純子、80年代に松本が筒美京平と共に楽曲提供し、大切に育てたバンド、C-C-Bのドラマー&ヴォーカルの笠浩二。こういった事情もあり、オリジネーターが歌うことが基本だったこれまでのスタイルから方向転換し、作詞家・松本隆の名曲群を、新たな世代のシンガーたち、近年接点を持つことになったアーティストたちが歌い継いでいく、というイベントとなったのが、今回の『風街ぽえてぃっく』である。
第一夜:風編の開演前、会場に流れるBGMは寺尾聰の「喜望峰」、野口五郎「鼓動」、しばたはつみ「アダルト・ラブ」、大橋純子「ラブ・マシーン」など、かなりマニアックな選曲になっている。そして、大滝詠一の「それはぼくぢゃないよ」がそれまでより大きな音で流れ始めると、客電が落ちていよいよ開幕。歌詞に"それはぼくぢゃないよ、あれはただの風さ"と歌われている通り、 "風編 "のスタートには相応しい楽曲だ。ステージ中央のスクリーンに、今回のイベントの趣旨が描かれ、次いで「あゝ青春」のタイトルが映し出されると、本日のトップバッター曽我部恵一が、ブルーのスーツに白いシャツ姿で、中央の一段高い場所から登場する。フォークロック調の「それはぼくぢゃないよ」からの「あゝ青春」という流れは、70年代日本に生まれた、新しい音楽の匂いを漂わせているかのようだ。
「あゝ青春」は、松本隆が初めて吉田拓郎と組んだ作品で、ドラマ『俺たちの勲章』の主題歌。トランザムが歌い、同ドラマに主演した中村雅俊も、作者の拓郎もカヴァーしている。しかも前回の『風街オデッセイ』初日の開幕前のBGMがこの曲だった。曽我部は99年の『風待ミーティング』にサニーデイ・サービスとして参加して以来、ほぼ準レギュラーのような形で出演していることもあるが、何より今、この世界観を歌えるのは曽我部恵一をおいて他にない。続いてスピッツの草野正宗が作曲、groovisions開発の着せ替えキャラChappieが歌った「水中メガネ」を。キラーワードの "わたしは男の子 "を、丁寧に、噛み締めるように歌った。


次に登場した三浦宏規は、バレエダンサーを経てミュージカル俳優として大活躍している26歳。冨田ラボが秦基博を迎えて発表した「パラレル」を爽やかに歌い上げる。
「松本さんの詞は、時代を超えて私たちの胸に寄り添い続けてくれます」と挨拶した後で、今度は時の旅を表現した歌を、と原田真二の「タイム・トラベル」へ。1978年の楽曲ながら、今のポップスとして聴けるのは、三浦の瑞々しいヴォーカルに加え、松本の書く詞の普遍性も大きな理由だろう。
「松本さんの詞は、時代を超えて私たちの胸に寄り添い続けてくれます」と挨拶した後で、今度は時の旅を表現した歌を、と原田真二の「タイム・トラベル」へ。1978年の楽曲ながら、今のポップスとして聴けるのは、三浦の瑞々しいヴォーカルに加え、松本の書く詞の普遍性も大きな理由だろう。


続いて、前回の『風街オデッセイ』で颯爽と登場したのも記憶に新しい鈴木瑛美子。彼女の母・広田恵子は松本が87年に監督を務めた映画『微熱少年』のヒロインだったこともあり、親子2代で風街ワールドの住人としてすっかり定着した。今回歌った「シンプル・ラブ」「ミスター・スマイル」の2曲は、2023年にこの世を去った大橋純子の代表曲。 "歌い継ぐ "というテーマにふさわしい選曲で、「シンプル・ラブ」では大橋が得意としていたダイナミックなフェイクを再現し、聴き手を驚かせた。


ハードなロックビートが鳴り響くと、大友康平がステージに現れる。まずは桑名正博の「哀愁トゥナイト」を、拳を握り激しいシャウトを交えての熱唱。
大友は桑名について、 "最も歌が上手く、ロックシンガーとして尊敬する人物 "と語った。その桑名の代表作で、松本隆が初めてチャートの1位を獲得した楽曲「セクシャル・バイオレットNo.1」を披露。この曲は2015年の『風街レジェンド』では桑名の実子・美勇士が、『風街オデッセイ』では、トリビュート・アルバムでカヴァーしたB’zが歌った。大友も2021年の『ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート』で同曲を披露しており、その力強いヴォーカルは、本家のセクシーな歌唱とはまた違った個性があり、歌い手によって異なる魅力を発揮できるナンバーだとわかる。
大友は桑名について、 "最も歌が上手く、ロックシンガーとして尊敬する人物 "と語った。その桑名の代表作で、松本隆が初めてチャートの1位を獲得した楽曲「セクシャル・バイオレットNo.1」を披露。この曲は2015年の『風街レジェンド』では桑名の実子・美勇士が、『風街オデッセイ』では、トリビュート・アルバムでカヴァーしたB’zが歌った。大友も2021年の『ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート』で同曲を披露しており、その力強いヴォーカルは、本家のセクシーな歌唱とはまた違った個性があり、歌い手によって異なる魅力を発揮できるナンバーだとわかる。


背後のスクリーンにその名が映し出されると、場内から大きなどよめきが起きた。風街イベント初参加、マッチこと近藤真彦の登場だ。まずはデビュー曲にしてチャート1位、ミリオンセラーの記録を持つ「スニーカーぶる〜す」を歌えば、会場のそこかしこでカラフルなペンライトが揺れ、東京国際フォーラムが一気に80年代のアイドルイベント会場へと様変わりした。
「皆さん、盛り上がってますかー!」元気いっぱいの挨拶に続いて、「品行方正だった僕に、若干、不良の方向へ導いたのが松本さんの詞でした」と笑いをとり、"俺、お前、マジで "というワードを満載したもう1つの代表作「ハイティーン・ブギ」へ。間奏での今剛のギター・ソロもパフォーマンスに華を添えた。マッチは当時も今も、いつだって元気いっぱい、レッドゾーンを振り切るように全力投球で歌う。その姿は45年経っても変わらぬスターの輝きを放っていた。
「皆さん、盛り上がってますかー!」元気いっぱいの挨拶に続いて、「品行方正だった僕に、若干、不良の方向へ導いたのが松本さんの詞でした」と笑いをとり、"俺、お前、マジで "というワードを満載したもう1つの代表作「ハイティーン・ブギ」へ。間奏での今剛のギター・ソロもパフォーマンスに華を添えた。マッチは当時も今も、いつだって元気いっぱい、レッドゾーンを振り切るように全力投球で歌う。その姿は45年経っても変わらぬスターの輝きを放っていた。


ファンタジックなイントロが流れると、安田成美が「風の谷のナウシカ」を、当時と変わらぬ初々しいヴォーカルで披露。『風街レジェンド』からの常連となった安田だが、今回も間奏で拍手が湧き、歌い終えると恥ずかしそうに顔に手を当てて微笑む姿は、10代の頃と変わらぬ可愛らしさに溢れている。そして、10月には約40年ぶりのソロ・ライヴを開催することを告知すると、ここでも大きな拍手が。今回はもう1曲、やはり松本隆&細野晴臣のコンビによる「銀色のハーモニカ」を披露。原曲がテクノポップアレンジだけに、バンド演奏で聴けるのは極めて珍しい。


アーティストごとにガラリと世界観が変わるのも、風街イベントの面白さだ。次に登場した井上芳雄は、ミュージカル界のプリンスと呼ばれ、圧倒的な人気を誇るミュージカル俳優。松田聖子の「瑠璃色の地球」を壮大な世界観で表現し、大きな拍手を浴びた。この曲は井上自身もカヴァーしており、男性が歌うとまた異なった説得力がある。そして大滝詠一の『EACH TIME』収録の「ペパーミント・ブルー」へ。
今回の『風街ぽえてぃっく』では、松田聖子と大滝詠一の楽曲が多く選ばれているが、その両方を歌ったのは井上だけ。その期待に応えた、圧巻のステージであった。
今回の『風街ぽえてぃっく』では、松田聖子と大滝詠一の楽曲が多く選ばれているが、その両方を歌ったのは井上だけ。その期待に応えた、圧巻のステージであった。


前半のトリは、風街のミューズ・斉藤由貴が登場。しっとりと「初戀」を歌った。MCではデビュー曲「卒業」に触れ、その詞を受け取った際、「まだ会ったこともないのに、どうしてこんなに私のことをわかっているんだろう」という思いがあったと語る。そして、今回の『風街ぽえてぃっく』が次の時代へ歌い継いでいくのがテーマだが…
「私にとって『卒業』は宝物、誰にも渡したくない気持ちがあります」という本音を漏らした。そして、斉藤由貴でしか表現し得ない、鮮烈な名曲「卒業」を、じっくりと噛み締めるように歌う。後半ではやや涙ぐんでいるかのような表情で、美しい余韻を残し、前半のステージが終了した。
「私にとって『卒業』は宝物、誰にも渡したくない気持ちがあります」という本音を漏らした。そして、斉藤由貴でしか表現し得ない、鮮烈な名曲「卒業」を、じっくりと噛み締めるように歌う。後半ではやや涙ぐんでいるかのような表情で、美しい余韻を残し、前半のステージが終了した。



15分間の休憩を挟んで、第2部の開幕は、竹内まりや「五線紙」をBGMにスタートする。はっぴいえんどの時代を回顧するかのようなナンバーで、またコンサートホールが舞台の楽曲とあり、本番前の導入にふさわしい楽曲だ。
再び客電が落ちると、スクリーンには大滝詠一の名盤『A LONG VACATION』のジャケット写真が映し出され、現れたのはシンガー・ソングライターの槇原敬之。自分で詞と曲を書く槇原が、敢えてカヴァーを歌うことにも、今回の "歌い継ぐ "というテーマの意味を感じさせる。まずは大滝詠一の「君は天然色」を、いつものマッキー流のヴォーカルスタイルで、会場に手拍子を要求しながらノリノリで歌い上げた。背景の映像も、楽曲にふさわしくレインボーカラーで鮮やかにな演出に。
「僕はYMOが大好きだったので、この曲はもう僕が歌うしかないだろう!ということで(笑)」
「僕がキュン!と歌ったらキュン!と返してくださいね」と語り、「君に、胸キュン。〜浮気なヴァカンス〜」へ。アーティストと観客が一体化し、ハッピーな空間を作り上げてくれた。
「僕はYMOが大好きだったので、この曲はもう僕が歌うしかないだろう!ということで(笑)」
「僕がキュン!と歌ったらキュン!と返してくださいね」と語り、「君に、胸キュン。〜浮気なヴァカンス〜」へ。アーティストと観客が一体化し、ハッピーな空間を作り上げてくれた。


ここで上手から本日の主役・松本隆が登場し、ポエトリー・リーディングのコーナーに。ステージ中央にピンスポットが当たり、椅子に腰掛けた松本は「盛り上がっているところを、盛り下げに来ました」と笑わせ、はっぴいえんどの「夏なんです」の朗読へと移る。
「ギンギンギラギラの夏なんです…」
「モンモンモコモコの入道雲です…」
はっぴいえんど時代に松本が書いた詞は、その後の他の作詞と大きく異なる雰囲気を持っている。そして、それが作者自身の言葉で放たれることで、圧倒的な説得力を持つ。観客も言葉の1つひとつを、1音も聞き逃すまいと耳を傾けていた。語り終えた松本は、バンマスの井上鑑とハイタッチをして、下手に去っていった。
「ギンギンギラギラの夏なんです…」
「モンモンモコモコの入道雲です…」
はっぴいえんど時代に松本が書いた詞は、その後の他の作詞と大きく異なる雰囲気を持っている。そして、それが作者自身の言葉で放たれることで、圧倒的な説得力を持つ。観客も言葉の1つひとつを、1音も聞き逃すまいと耳を傾けていた。語り終えた松本は、バンマスの井上鑑とハイタッチをして、下手に去っていった。


ここからは女優陣による風街ワールドの時間。松本隆の詞は、薬師丸ひろ子や斉藤由貴など、女優が歌うと一段と説得力を感じさせる楽曲が多い。素朴に、真っ直ぐに、あるいは演じるように歌われる、いわゆる "女優歌 "の魅力的な世界がそこに広がるのだ。
まずは若手人気女優の筆頭格、橋本環奈が純白のドレスに白いリボンカチューシャ姿というクラシカルな衣装で登場し、会場から大きなどよめきが起こる。スウィング風にアレンジされた薬師丸ひろ子の「あなたを・もっと・知りたくて」をキュートに歌い、オールドハリウッドの世界へと誘う。
そして、太田裕美の名曲「木綿のハンカチーフ」へ。今回、不在の太田に変わりこの曲を誰が歌うのか興味津々だったが、橋本はさらりと、細やかな歌唱で歌い継いだ。
そして、太田裕美の名曲「木綿のハンカチーフ」へ。今回、不在の太田に変わりこの曲を誰が歌うのか興味津々だったが、橋本はさらりと、細やかな歌唱で歌い継いだ。


続く木下晴香は、2017年にミュージカル『ロミオ&ジュリエット』のジュリエット役に抜擢されデビューした逸材。以来、幾多のミュージカルに出演し、その歌唱力が高く評価されている。華やかなドレス姿で登場した木下は、薬師丸ひろ子の「すこしだけ やさしく」、そして松田聖子の「一千一秒物語」と、両方とも大滝詠一の楽曲を透明感あるヴォーカルで歌い上げた。


そしてNHK連続テレビ小説『ファイト』のヒロイン、TBS『王様のブランチ』の司会で知られる本仮屋ユイカに繋ぐ。2021年に「ゆいか」名義で歌手活動もスタートさせており、今回も「小麦色のマーメイド」「秘密の花園」と、ユーミンが呉田軽穂名義で書いた松田聖子の曲をしっとりと歌った。この2曲はゆったりしたミディアムテンポのナンバーで、歌い手の表現力が問われる作品でもあるが、原曲に忠実に、純白のドレスで丁寧に歌うその姿には落ち着きすら感じさせた。


まだまだ続く "歌う女優 "コーナーの最後は、ミュージカルを中心に、舞台、そして映像作品でも活躍する宮澤エマ。ブラウンを基調にしたエレガントなドレスで歌った曲は、松田聖子の「天国のキッス」。転調の多い難曲を、爽やかに歌いこなし、バックの映像も抜けるような青空で、一気に夏のリゾートへと観客を運んでくれた。続いても薬師丸ひろ子の「Woman“Wの悲劇”より」を、浮遊感漂うメロディーと神秘的な歌詞にふさわしく、美しいハイトーンで聴かせ聴衆を魅了する。


風編も終盤に差し掛かり、ここで「風街ばんど」の紹介だ。キーボード安部潤、ベース高水健司、チェロ笠原あやの、ビオラ渡部安見子、バイオリン矢野晴子&栄田嘉彦、アコースティックギター吉川忠英、ギター今剛&土方隆行、コーラス佐々木久美&藤田真由美&高尾直樹、パーカッション川瀬正人、ドラム山木秀夫、トランペット西村浩二、トロンボーン村田陽一、サックス山本拓夫、そしてキーボードと音楽監督の井上鑑。何れ劣らぬ現役最高峰のミュージシャンたちが今回も勢揃いして、贅沢なサウンドを奏でてくれた。

バックの映像に夕映えに溶ける橋が描かれ、ノスタルジックなムードが会場を包む。「ビー玉、ベーゴマ、風船ガムにニッキ…」と、独特のセリフ回しと共に、本編のトリを務める水谷豊がステージ中央からゆっくりと歩いてくる。主演ドラマ『熱中時代』の教師編第2シリーズの主題歌となった「やさしさ紙芝居」だ。歌い終えると万雷の拍手の中、歌手デビュー当時の思い出を語り始める。
「24歳の時、フォーライフレコードから、歌に興味はありませんか?と誘われました。作詞に松本隆さん、作曲に井上陽水さんで、と言われ、その名前に惹かれて歌に手を染めてしまいました」と会場を笑わせる。その曲が水谷のデビュー作「はーばーらいと」。話題は当時ドラマ『天下のおやじ』で、兄弟役で共演した寺尾聰との交流に移る。そして寺尾へのリスペクトを込めて、黒いサングラスをかけ、寺尾の大ヒット作「ルビーの指環」を歌う。水谷はこの曲を2015年にカバーしており、寺尾とはまた異なる歌唱法ながら、役者歌の魅力を存分に聴かせてくれた。
「24歳の時、フォーライフレコードから、歌に興味はありませんか?と誘われました。作詞に松本隆さん、作曲に井上陽水さんで、と言われ、その名前に惹かれて歌に手を染めてしまいました」と会場を笑わせる。その曲が水谷のデビュー作「はーばーらいと」。話題は当時ドラマ『天下のおやじ』で、兄弟役で共演した寺尾聰との交流に移る。そして寺尾へのリスペクトを込めて、黒いサングラスをかけ、寺尾の大ヒット作「ルビーの指環」を歌う。水谷はこの曲を2015年にカバーしており、寺尾とはまた異なる歌唱法ながら、役者歌の魅力を存分に聴かせてくれた。



これまで披露してきた名曲たちのタイトルが流れた後に、アンコールでは、はっぴいえんどのアルバム『風街ろまん』のジャケットが大写しになり、トップバッターを務めた曽我部恵一が再び登場。同アルバムから「抱きしめたい」を披露する。

さらに槇原敬之が再び登場し、本日2曲目の大滝詠一カバー「スピーチ・バルーン」を柔らかな歌声で包み込んだ。思えば前回の『風街オデッセイ』初日の客出しBGMが「スピーチ・バルーン」だった。4年という時間があっという間の出来事だったように思える。

「外はいい天気」をBGMに、出演者たちがステージ上に集まり、槇原の声がけで松本隆を再び呼び込む。
「僕の詞を愛してくれるリスナーの皆さんがいたから、今日、僕はここに来れたわけです。本当にありがとう」
「僕の詞を愛してくれるリスナーの皆さんがいたから、今日、僕はここに来れたわけです。本当にありがとう」

全員がステージを去る時には、畢生の名曲「風をあつめて」が流れた。55年の歳月、そして風街の原点ともいうべきこの曲に送り出される形で、華やかに初日の幕を閉じた。
